振袖の豆知識
成人の日に着る衣装といえば、振袖をイメージする人が多いでしょう。未婚の女性が特別な日に着る袖が長い着物、という印象はあるものの、着物の文化に関しては知らないことが多いという声もよく聞きます。
振袖にはどのような種類があって、一般的にどのような小物を合わせるのがいいのか、また、成人式で振袖を着る意味など、振袖に関する豆知識をまとめました!
今さら聞けない!振袖って?
成人式やお見合い、結納の席など、おめでたいシチュエーションで着られることの多い振袖。振袖は、未婚女性が着る着物の中で、最も格が高いとされています。華やかで若々しい、特別感のある着物ですよね。
振袖についての基礎知識を知って、衣装選びの際に役立てましょう!
「振袖は、未婚の女性が着るもの」とされている理由には、次のような説があります。江戸時代には、振袖の袖を振ることが、愛情表現の一つとなっていたとか。男性からの求愛に対し、袖の振り方で返事をしていたそうです。
また、振袖を着ていることで、独身であることをアピールする意味があったようです。そのため、誤解をなくすためにも結婚してからは袖を短くした着物を着るのが一般的になったといわれています。
一方、袖の短い「留袖」は、既婚女性にとって最も格式が高い着物で、「色留袖」と「黒留袖」があります。シーンや立場によって着用する着物が変わるというマナーを知って、正しく美しく、着物を着こなしましょう。
振袖の種類
振袖には、「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3つの種類があります。長さなどについては諸説ありますが、一般的に解釈されている、それぞれの特徴を解説しましょう。
【大振袖】
「本振袖」ともいわれる「大振袖」。「引振袖」「引き振り」「お引きずり」「お引き」などと呼ばれることもあります。振袖の中でも最も格式が高く、婚礼衣装として使われることがあります。袖丈が約3尺(約114cm)もあることが最大の特徴。引きずるほどの長さになり、その立ち姿は艶っぽく気品があり、女性のしなやかな美しさを際立たせます。
【中振袖】
中振袖の袖丈の長さは、約2尺5寸(約100cm)で、大振袖の次に格式が高い礼装とされています。成人式でよく着用されているのが「中振袖」です。足首のところくらいまで袖丈の長さがあり、立ち姿が凛とした印象になります。結婚式へのお呼ばれや、結納の席などさまざまなお祝いの場で着用されることが多いのも、この「中振袖」です。
【小振袖】
小振袖の袖丈の長さは約2尺(約75cm)で、「二尺袖」とも呼ばれています。振袖の中では袖丈が短いので、動きやすいという特徴があります。卒業式などの袴と組み合わせて着用されることが多いのが「小振袖」です。ボリュームのある袴と短めの袖がバランスよく、可愛らしい雰囲気になります。
振袖に合わせる小物
華やかな振袖を着付けたら、さらに美しく見せるために「小物合わせ」が重要です。合わせる小物によって、より洗練された印象を与えることができます。振袖に合うカラーや、自分のなりたい雰囲気をまとえる柄の小物を選んで、コーディネートしてみましょう。
着付けの仕上げに使う小物について、紹介します。
【帯締め】
帯締めは、帯の中央でしっかりと結び、帯の形が崩れないように固定するための紐です。全体の中央に位置し、装飾としての役割もあるため、欠かすことができない大切な小物です。
昔は飾りのないシンプルなものが主流でしたが、近年は飾りのついているものが人気です。帯や帯揚げとのバランスも見ながらコーディネートしてみましょう。
【帯揚げ】
帯揚げとは、帯を立体的に見せるために使う帯まくらを包んで、固定する役割の布です。振袖用の帯揚げは総絞りのものが多く、振袖と帯の間に結びます。帯の上に少し見えるようになるので、色合わせで雰囲気を変えることができます。
【半襟】
半襟は、振袖の下に着る長襦袢の襟につける替え襟のことです。もともと、襟が皮脂や汗などで汚れるのを防ぐために付けられていたものですが、装飾としての役割も持っています。
見える部分は少ないものの、顔から近い位置にくるため、選んだ半襟によって印象が変わります。フォーマルな場面では白いものを使うのが一般的ですが、より華やかにしたい時には柄や刺繍入りの半襟もあります。
【伊達襟(重ね衿)】
伊達襟は、重ね襟とも呼ばれるように、振袖の襟に重ねて、着物を重ねて着ているように見せるための小物です。着物と半襟の間に重ねて使います。昔は、礼装では重ね着をする慣習があったため、現在もその名残として伊達襟が使われるようになりました。振袖の色や柄に合わせて選ぶとよいでしょう。
他にも、振袖のコーディネートに合わせたバッグや草履、髪飾りなどがあります。全体的に統一感が出ると上品で綺麗に見えるので、仕上がりをイメージしながらそれぞれ選んでみましょう。
成人式で振袖を着る意味
成人式では、「女性が華やかな振袖を着る」というイメージが定着していますよね。では、振袖を成人式で着用することにはどのような意味があるのでしょうか。
まず、明治時代以降は、振袖が「未婚女性の第一礼装」として定着していることが挙げられます。昔から、日本では「元服」や「裳着」といった、子どもから大人になることを祝う通過儀礼がありました。時代とともに形を変え、現代の成人式という形になりましたが、「冠婚葬祭」の「冠」にあたる、人生の中でも大切な行事の一つです。
重要なライフイベントでは礼装を着用するという流れから、現代の振袖を着用する風習ができたと考えられます。
次に、普段とは違った、華やかで美しい振袖を着ることで、成長が目で見えるものとなります。成人の日を迎え、大人になったことを自覚するために装いを変える、という意味合いがあるのです。
家族を中心にお世話になった人たちに晴れやかな衣装を着て立派に成長した姿を見てもらい、感謝の気持ちを伝えることができます。
そして、振袖には古来より厄払いの意味がこめられています。袖を「振る」仕草には、神様を呼びよせて邪気を払い、場を清める力があると考えられてきたそうです。そのため、子どもから大人へとなる節目の際に、幸せを願うという意味も込められているようです。
振袖についての理解を深めて、大切な節目の成人式を迎えることができたら、より思いのこもった記念の日になりそうですね。
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